紅白歌合戦がつまらなくなったわけ。
というタイトルにしてみたが、いまさら紅白歌合戦のつまらなさについてあれこれ書いてみても仕方がないように思うが、少し書いてみる。
むかしの紅白歌合戦が面白かったのは、色々な歌番組やバラエティに出ている歌手たちが一堂に会する年末のお祭り感が凄かった。
ザ・ベストテンやトップテン、夜のヒットスタジオなどの歌番組があった時代は、今夜の番組には、誰が出るのかということが、クラスで話題になっていた。
たとえば先週はマッチ(近藤真彦)が1位だったけれど、今週はチェッカーズの新曲が1位で、マッチは3位、2位は先週と同じで小泉今日子じゃないかというような予想を各自が披露していたものだ。
わたしは中学生時代からオリコンの順位を土曜日にラジオ番組で聴いていたので、翌週の歌番組の順位予想はけっこう正確に出来た。
もちろん歌番組とオリコンがリンクしているわけではないが、オリコンで圧倒的枚数が売れているのに、下位ということはあまりなかった。
ただ当時の歌番組は新曲よりも、ロングヒットの曲がチャートの上位に居座り続けることが多かった。
有名なのは、寺尾聰の【ルビー指輪】でザ・ベストテンで12週連続1位という記録を樹立している。
【ルビーの指輪】は別格だったと思う。
誰でも知っている曲だった。
そうこの誰でも知っている曲というのが平成に入ってめっきり減ったのだ。
たとえば、細川たかしの【北酒場】は1982年の曲だが、当時は子どもから大人まで【北酒場】を知らない人はほぼいなかった。
小学生だったわたしでもこの曲の替え歌を10種類は知っていた。
月曜日に【北酒場】の新しい替え歌が流行り始めたと思ったら、金曜日は別の替え歌が隣町の小学校から伝染してきているぐらいだった。
この【北酒場】のような曲はもうあまりないと思う。
もちろん北島三郎の【与作】や千昌夫の【北国の春】も同じようにヒットしていた。
こういうヒット曲がないと紅白歌合戦も盛り上がることは難しい。
そしてヒット曲は、人々の熱気が生むものでもあるのだ。
これだけ価値観が多様化してしまった現代で、むかしのようなヒット曲は生まれるのだろうか?
その年のヒット曲で構成すると、必ず知らない曲ばかりだという批判が出るし、過去のヒット曲を中心に構成すれば、それはそれで批判されるだろう。
つまり、多くの人々が以前ほど歌に熱気を帯びていない現代では紅白歌合戦という存在自体が揺らいでいるということなのだろうと思う。