毎年、どこかの島にいくようにしている。
国内なら暑い時期に、穏やかな海に入るために行くし、海外なら日本が寒い時期に短期間、逃げ出すために行く。
島で過ごす数日間はなるべくスケジュールを詰め込まないようにしている。
観光は嫌いではないが、数をこなすことが良いことだとは思わない。
数には日々の仕事で追われているので、休みのときは、そういった発想や行動からはなるべく離れたい。
今年は直島にやってきたが、何回も来ているので、観光目的ではない。
増えた観光スポットと地中美術館ぐらいは足を運ぶけれど、あとはただゆっくりと過ごすために来た。
港から汽船に揺られ本土から離れるにつれ、脳が休みに入るのがわかる。
定宿のベネッセハウスにはテレビがないので、ネットから離れれば、目に入る景色ぐらいしか情報は入ってこない。
それがたまらなく良い。
特にベネッセハウスはパークかビーチに泊まるとより、ゆったりとした時間が過ごせると思う。
オーバルの特別感と、ミュージアムの利便性はもちろん知っているが、何回も来ていると、やはり海を眺めて過ごしたくなる。
ベネッセハウスは不思議なホテルだ。
都内のホテルに比べるとサービスレベルにゆるさはあるが、しっかりともてなしてくれる。
こちらから何も求めなければ、何もしてくれない。
それがまた良いともいえるのだ。
だから、また来たくなる。
そして直島の人々にもまた会いたくなる。
島のゆるやかな時間のなかにいると、普段は気づかない色々なことに気付かされる。
あるものより、ないものに刺激されているような感覚が、この島全体にはある。
直島の象徴はふたつのかぼちゃだ。
説明するまでもなく草間彌生の作品だ。
直島を訪れる人々は、多くはこの赤かぼちゃに迎えられ、送られる。
そして黄色のかぼちゃに会うと、なぜか心が躍るのだ。
いいトシしてなぜか?
その不思議さに惹かれ、また直島を訪れてしまうのかもしれない。