玉塚元一氏のワタリについての解説

玉塚元一氏がハーツユナイテッドグループ 代表取締役社長に就任されましたね。

たぶんローソン会長CEOを退任する前から引く手あまたで困るほどだったと思います。

玉塚元一氏の華麗なる経歴を詳しく知りたい方はさぞ調べ甲斐があると思いますよ。

ざっと書いてみると、

日本IBMを退職後、ファーストリテイリング代表取締役社長兼COO就任。

リヴァンプ(企業再生事業)を設立し共同代表に就任。

ロッテリア会長 兼 最高経営責任者(CEO)に就任。

ローソン社長兼CVSカンパニー社長に就任。

ハーツユナイテッドグループ 代表取締役社長 CEOに就任予定。

いや凄い経歴ですね。

もっと細かく書けますが、このぐらいでも十分だと思います。

そして立派に渡っていますね。

日本人の感覚だとこれだけ転職していると不思議な印象も受けますが、外資系企業だと解雇と再就職は数カ月毎にやってきても普通です。

突然、呼び出されて、解雇を伝えられたら、もうデスクに戻れずに後日、私物がダンボールで自宅に送られてくるような世界です。

いったん解雇を伝えられたら、あとすることいったら退職金の交渉ぐらいですかね。

外資系のなかには、営業社員はみんな個人事業主で、ノルマと歩合でひたすら働いているようなところもあります。

何年も残っている人はほぼ高給取りです。

普通の人はだいたい3年以内にクビになります。

クビになったら再就職するわけですが外資系企業でワタリをやっている人は、そのネットワークで次の外資系企業にうまく潜り込めたりします。

どこがどのタイミングで業務拡大のために求人するといったような情報がネットワーク内を飛び交っています。

 

玉塚元一氏は社長業のワタリです。

それもかなり大物のワタリです。

ご本人が望んでいるのか結果としてワタリに見えてしまっているのかはわかりませんが、社長業のワタリの需要はけっこうあります。

玉塚元一氏のように上場企業の最高責任者クラスでワタれる人の絶対数は少ないです。

普通は、上場企業の子会社の社長、ベンチャー企業の社長、中小企業の社長、といった順番でのワタリになります。

ここから先は、だいたいさらに小さな中小企業へのワタリになります。

この手のワタリの人は元々、上場企業に勤めていて、子会社を設立するときに、社長に抜擢されたといったケースが多いと思います。

ここで社長業を学ぶわけですが、親会社の意向で子会社が解散になったり、業績不振で解任されたりすると、もう親会社に戻るといった選択肢はなかなかとりにくいです。

そういった人材を投資ファンドやベンチャーキャピタルといった組織が引き抜いて、自分たちの投資先に押し込みます。

いちおう上場企業の子会社で社長をこなしていたわけですから、ベンチャー企業の社長もわけなくこなせます。

もちろん事業自体はそれほどいじれないですが、ベンチャー企業の顔としては申しぶんないです。

上場企業時代の人脈も魅力的です。

しばらくここで社長業をこなします。

そして数年経つと、今度は投資ファンドやベンチャーキャピタルの意向で、またクビを切られます。

大きな成果が出ていれば別ですが、ベンチャー企業は10社に1社が成功すればマシというのが実情です。

うまくいかなければ何かを改善しなくてはならないです。

1番わかりやすいのは経営責任です。

だから、社長はまっさきにクビです。

 

ここで登場するのが後継者不足で悩む中小企業です。

生え抜き社員にぱっとした人材がいなかったり、後継者がまだ育っていなかったりすると、ワンポイントリリーフの社長が必要になります。

そういった社長の椅子があれば当然、座る人間が集まってきます。

そしてまた数年経つと、同じような理由でクビを切られ、次の企業へと移動するわけです。

見事にワタリが完成します。

社長業のワタリは現在のビジネス環境を考えると無くなりそうにありませんね。

 

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